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美容室における業務委託契約と雇用契約について

美容室

ここ最近急激に増え始めている業務委託サロン。

美容師は普通の美容室に勤務するよりも稼げるという噂があったり、
店舗側も税金面で有利というような話もあります。

ただ、契約上は業務委託となっていても、税務上はこれが認められず、
追加で社会保険料や税金が追徴されるなどのトラブルもあるようです。

そこで今回はこの「業務委託」に関するお話をしたいと思います。

 <目次>
1. 2つの形態
2. 税務上の取扱い
3. ポイント
4. まとめ

美容室における雇用と業務委託

 

1. 2つの形態

いま美容室に在籍されている美容師との契約はどのようになっていますか?
大きく分けると次の2つの形態があります。

・雇用

・業務委託

「雇用」とは正社員やバイトのようにお店が美容師を従業員として雇うことです。
「業務委託」とは美容師を従業員として雇うのではなく、1対1の独立した事業主として取引することです。

 

2. 税務上の取扱い

実は雇用か業務委託かの違いで、税金の取扱いが大きく変わってしまうので、
税務調査の際、税務署はここを厳しくチェックしてきます(※)。

(※)これは業務委託は外注費となるのに対して、雇用は人件費となるために、
税務上の取扱いが大きく異なるためです。

そのため、「業務委託」の形を取っている美容室は「税務上の実態は雇用」だと認定されないように、
注意をしなければいけません。

もし「実態は雇用だ」と税務署が判断した場合、美容室側は、

・源泉所得税の徴収漏れ

・消費税の過少申告(美容師への報酬額×8%)

を指摘され、追徴税やペナルティーである加算税を課される場合があります。

さらに、「雇用」と判断されてしまった場合、
美容室側が美容師の健康保険や厚生年金保険などの社会保険料(美容師への報酬額×約30%)の半分以上
負担しなければならなくなることもあります。

これらの支出は美容室の経営そのものを揺るがす大きな打撃を与えることは必至です。

そんな事態を避けるためにも、以下のポイントを気をつけるようにしてください。

 

3. ポイント

ポイント①:契約書と実態の整備

次のような内容を記載した契約書を美容室側と美容師で取り交わす必要があります。

 ・必要な材料、機器準備責任
(業務委託の場合、美容室側に準備の責任はありません)

 ・美容室側の指揮命令
(業務委託の場合、美容室側は美容師の時間及び場所を拘束したり、
仕事のやり方を命令できません)

 ・報酬の支払い
(業務委託の場合、報酬が成果に対して支払われます。
勤務時間に応じて支払われる場合は雇用になります。)

 ・契約上の仕事の実施者の入れ替え
(業務委託の場合、契約上決められた仕事を美容師自らでなく、
別の者にやらせることができます)

・トラブルの責任負担
(業務委託の場合、美容師側がトラブルの責任を負担しなければなりません。)

もちろん、実際の勤務実態も契約書の内容に合わせます。
1対1の独立した事業主の取引であると宣言するのです。

支払われたお金が「雇用」「業務委託」のいずれの対価かを判定するために、
税務署は上記のような点を総合的にチェックしてくるので準備が必要です。

ポイント②:美容師が必要な手続きを行う

業務委託を引き受ける美容師側でも次のような手続きが必要です。

・美容師が個人事業主として開業届を税務署に提出 

・美容室に対して報酬を請求する際に請求書を発行

・美容師が個人事業主として確定申告をする

双方とも業務委託契約であることを認識しているという書類を整えて、勤務実態も契約書に従うわけです。

 

4.まとめ…ここまでやらないとダメ!

外注費と人件費には100%の線引きがないので、こうすれば確実に指摘を回避できると言い切れない
部分があるのが悩ましいところです。

 それでも、

・契約書、開業届、請求書、確定申告書など必要な書類を準備する。

・勤務実態を契約書に合わせる。

などの対応を事前にしておくと、税務署に指摘された場合でもしっかりと説明することができます。

税務調査はいつ来るか分からないので日頃からの準備が大切です。
また、万全な対策には専門家のアドバイスも必要になるかもしれません。

しっかりとリスクヘッジして経営者の皆さま、美容師の皆さま、お客様のための美容室を守りましょう。

もし何かこのような経営や税務に関するご質問事項などがありましたら、是非お気軽にお問い合わせください。
東京上野のクラウドが大好きな理系税理士・会計士の白根でした。

 

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