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従業員への賞与に関する税務上の上限

[質問]

従業員への賞与には税務上の上限などはありますか?

[回答] 

所得税法を見る限りでは、従業員賞与に関する詳細な条文はないようです。
基本的には①親族関係に対する支払い(所得税法第56条)や②青色事業専従者給与の上限を超える部分(所得税法第57条)以外であれば全額必要経費にできると考えられます。

法人税法では特殊関係使用人に対する不相当に大きい金額以外は基本的に損金に算入することができます。

(以下詳細)
① 【生計を一にする親族に支払った対価の取扱い(所得税)】 
●事業主
親族に支払った対価(給料、店舗の使用料、支払利息)
⇒事業主の必要経費に算入しない。

その親族のその対価に係る各種所得の必要経費に算入されるべき金額(店舗の固定資産税、減価償却費)
⇒事業主の必要経費に算する。

●親族
支払いを受けた対価(給料、店舗の使用料、受取利息)
⇒ないものとみなす。

その対価に係る各種所得の必要経費に算入されるべき金額(店舗の固定資産税、減価償却費)
⇒ないものとみなす。

②【使用人給与の取扱い(法人税)】
(1)通常の使用人の場合
給料:全額損金算入
退職給与:同上
賞与(下記以外):同上
賞与(利益処分):全額損金不算入

(2)特殊関係使用人の場合(法人税法第36条)
給料:支給額-相当額=損金不算入(不相当に多い金額は損金不算入)
退職給与:同上
賞与(下記以外):同上
賞与(利益処分):全額損金不算入

・相当額は役員報酬の実質基準(各人ごとの職務の内容その他の条件に照らして判断)に準じて計算する。
・特殊関係使用人とは(法人税法施行令第72条)、次のいずれかに該当する者である。

① 役員の親族
② 役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある者
③ ①②以外の者で、役員から生計の支援を受けている者
④ ②③の者と生計を一にするこれらの者の親族

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(おまけ1:損金算入時期)
法人が使用人に対して支給する賞与の額は、次に掲げる賞与の区分に応じ、それぞれ次の事業年度の損金の額に算入します。
なお、使用人に対して支給する賞与の額には、使用人兼務役員に対して支給する賞与のうち使用人としての職務に対応する部分の金額が含まれます。

(1)労働協約又は就業規則により定められる支給予定日が到来している賞与(使用人にその支給額が通知されているもので、かつ、その支給予定日又はその通知をした日の属する事業年度においてその支給額につき損金経理したものに限ります。)
  その支給予定日又はその通知をした日のいずれか遅い日の属する事業年度

(2)次に掲げる要件の全てを満たす賞与
  使用人にその支給額の通知をした日の属する事業年度  
イ その支給額を、各人別に、かつ、同時期に支給を受ける全ての使用人に対して通知をしていること。
ロ イの通知をした金額を通知した全ての使用人に対しその通知をした日の属する事業年度終了の日の翌日から1か月以内に支払っていること。
ハ その支給額につきイの通知をした日の属する事業年度において損金経理をしていること。

(3)上記(1)及び(2)に掲げる賞与以外の賞与
  その支払をした日の属する事業年度

 
(おまけ2.従業員への決算賞与のメリット・デメリット)
(メリット)
節税できる。従業員のモチベーションアップ

(デメリット)
キャッシュが流出する。翌年度支給できないと従業員のモチベーションダウン

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