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役員報酬が未払の場合の源泉徴収・納付

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未払役員報酬に対する源泉徴収はどのように処理すればよいのでしょうか?
また、支払われた分にしか税金はかからないということでよいでしょうか?

役員報酬が未払の場合の源泉徴収・納付
 
役員に毎月支払われる給与等は、通常、定められた支給日にその総額を支払い、所得税はその支払いの際に、会社が給与等の支払い金額に応じた額を計算し、算出された額を源泉徴収のうえ国に納付することになります。

(理論上の話)
源泉徴収は給与等を、実際に支払う際に行いますので、役員報酬が未払いとなる場合には、原則として支払われるまでは源泉徴収は行われないこととなります。また、納付もしなくてよいということになります。
ただし、役員賞与については、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、源泉を納付する必要があります(所得税法183②)。

という上記のことが、理論上の話です。ただし、実務上は役員報酬の未払いについては、以下のような取り扱いがされています。

(実務上の話)
実務上は役員報酬が未払いであっても、それに対応する源泉所得税は納付をします。理由は、それをしていないと、税務調査の際にもめるからです。従業員に対する給料と違い、役員報酬はお手盛りで、どのようにも操作できると考えられてしまうからです。
源泉所得税の支払いがあれば、納付書により、役員報酬の金額がいくらなのかを、税務署も捕捉でき、会社側も証明できます。ただし、源泉所得税の支払いがないと、役員報酬がいくら支払われているのかが、まったく税務署の方で捕捉ができません。これを悪用すれば、決算の段階で算出された会社の利益に応じて、役員報酬を後付けで決めてしまうことができるからです。

ですので、会社に実際にお金が全くなく、役員報酬を支払うことが、物理的に無理だったことを証明できるならば別ですが、通常は、未払いであっても源泉所得税は納付をしておくべきです。そうでないと、役員報酬が否認される可能性が、非常に高いです。

なお、会社にお金があることはあるが、役員報酬を支払ってしまうと、運転資金等がなくなってしまうという経営者の方もいます。ただし、その場合は、いったん、役員報酬を支払い、役員が会社に対してお金を貸すということをすべきでしょう。

所得税法183(源泉徴収義務)
居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
2  法人の法人税法第二条第十五号 (定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から一年を経過した日までにその支払がされない場合には、その一年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。

(参考)
https://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2526.htm

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

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