東京都台東区上野のクラウドに強い税理士・公認会計士事務所「あしたの会計事務所」

生産性向上設備投資促進税制と中小企業投資促進税制の上乗せ措置の違い

当社は、生産性向上設備に該当し中小企業投資促進税制の対象でもある機械装置1,000万円を、平成29年3月期に事業供用しました。

平成29年3月の決算において、生産性向上設備投資促進税制と中小企業投資促進税制の上乗せ措置のどちらも適用できる場合、それぞれの制度における特別償却限度額と税額控除の違いについて教えてください。

 平成28年4月1日から平成29年3月31日までの間に事業供用した場合、平成28年3月31日までに事業供用した場合に比べて、生産性向上設備投資促進税制の適用率が縮減されました。他方、中小企業投資促進税制の上乗せ措置の適用率は変更ありません。
 どちらの制度とも特別償却、税額控除の繰越の取扱いに変更はありません。

  • 生産性向上設備投資促進税制

 平成28年3月31日までに事業供用した場合に比べ特別償却、税額控除の適用率が縮減されます。ご質問の機械装置の場合、特別償却は取得価額の全額(即時償却、100%)から50%に、税額控除は取得価額の5%から4%になりました。つまり取得価額1,000万円では、500万円の特別償却または40万円の税額控除のいずれかが適用可能となります。
 また、特別償却限度500万円に対して400万円しか特別償却を行わなかった場合(「特別償却不足」が生じた場合)、1年間の繰越控除が可能です。この場合、翌期100万円特別償却を行うことが可能です。
 税額控除については、当期の法人税額の20%が限度となります。ご質問の場合で、例えば当期の法人税額が40万円であったときは、税額控除限度額は8万円となり、税額控除可能額40万円との差額32万円は切捨てられ、翌期に繰越できません。

 

  • 中小企業投資促進税制
     生産性向上設備投資促進税制と異なり、特別償却と税額控除の適用率に変更はありません。

    1. 資本金が3,000万円以下の中小企業者(特定中小企業者)の場合
       取得価額全額の特別償却(即時償却)または取得価額の10%の税額控除のいずれかが適用可能です。ご質問の場合ですと、1,000万円の特別償却または100万円の税額控除のいずれかが適用の上限になります。ただし税額控除については、当期の法人税額の20%が限度となります。
    2. 資本金が3,000万円超から1億円以下の中小企業者の場合
       取得価額全額の特別償却(即時償却)または取得価額の7%の税額控除のいずれかが適用可能です。ご質問の場合ですと、1,000万円の特別償却または70万円の税額控除のいずれか適用の上限になります。ただし税額控除については、当期の法人税額の20%が限度となります。
    3. 特別償却、税額控除の1年繰越
       特別償却不足額、税額控除不足額はいずれも1年間繰越控除が可能です。平成28年3月31日前後で適用関係に変化はありません。

 会社の資本金額や利益状況により一概には言えませんが、生産性向上設備投資促進税制と中小企業投資促進税制の上乗せ措置のどちらも適用できる場合、後者を利用した方が一般的には有利と考えられます。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。

Share on LinkedIn
このエントリーをはてなブックマークに追加

ページの先頭へ
電話でのご相談
メールでのご相談