経営マガジン 2019年7月号
ニュースでも取り上げられていたので
知っている方も多いかと思いますが、
昨年の2018年7月6日に、
40年ぶりに相続法が改正され、
今年7月1日に大部分が施行されました。
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00222.html
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/1.html
「相続法」は、
相続法という独立した者があるというわけではなく、
民法の第5編 相続
で規定されている条文の総称のことです。
今回はこの法律の変更であって、
相続税の計算自体に変更はありません。
相続税法は、
民法の第882条~第1044条で定められていて、
第1章 総則 (第882条 – 第885条)
第2章 相続人 (第886条 – 第895条)
第3章 相続の効力 (第896条 – 第914条)
第4章 相続の承認及び放棄 (第915条 – 第940条)
第5章 財産分離 (第941条 – 第950条)
第6章 相続人の不存在 (第951条 – 第959条)
第7章 遺言 (第960条 – 第1027条)
第8章 遺留分 (第1028条 – 第1044条)
という章立てで、
「総則」「相続」「遺言」「遺留分」
の4つを基本に展開されているものです。
今回は、今年の7月1日から施行されたもののうち、
とくに知っておいた方がよいと思われる
次の3つをご案内させていただきます。
① 遺産分割前の預貯金の払い戻し制度
② 介護などでの特別の寄与
③ 自宅の生前贈与が遺産分割の対象外に
① 遺産分割前の預貯金の払い戻し制度
今回相続法の改正では、いくつか改正点があるのですが、
まず知っておいていただきたいのは、
「遺産分割前の預貯金の払い戻し制度」
の創設です。
これまで死亡により凍結された銀行口座は、
遺産分割の話し合いがまとまり、
相続人全員の署名と実印、印鑑証明書がなければ、
お金をおろすことができませんでした。
これが、
一定額であれば、
他の共同相続人の同意がなくても
相続人が単独でおろせるようになりました。
ただし、おろせる金額は、
その人の法定相続分の3分の1までで、
金融機関ごとの上限が150万円となっています。
② 介護などでの特別の寄与
次は、相続人の奥様が介護をしていたようなケースで
影響が出てくる改正です。
これまで故人の介護や介護や療養看護などを行っていた場合、
その介護等に対する寄与分の請求は、
相続人にしか認められていませんでした。
(例えば、相続人の配偶者が介護をしていたとしても
その請求が認められていませんでした)
これが、
相続人以外の親族にも、
特別の寄与分として、
金銭請求が認められることとなりました。
もちろん、この請求権が認められたからといって、
相続財産がなければ受け取ることはできませんし、
必ずその請求金額を受け取れるというものではありませんが、
今まで認められていなかった権利が
認められるようになったという大きな変更です。
今後実務上どのような運用になるのかなどは、
実際の事例を踏まえてみていく必要がありそうです。
なお、過去の判例では、介護等の寄与につき、
1日当たり8,000円程度が認められたこともあるようなので、
長期間介護に携わった場合などは、
金額的な影響も大きいかもしれません。
③ 自宅の生前贈与が遺産分割の対象外に
婚姻期間が20年以上の夫婦間で、
配偶者に対して自宅の遺贈または贈与がされた場合には、
自宅が遺産分割の対象外になりました。
これまでは、被相続人が生前、配偶者に対して自宅の贈与をした場合でも、
その自宅は遺産の先渡しがされたものとして取り扱われ、
配偶者が遺産分割において受け取ることができる財産の総額が
その分減らされていました。
今回の改正によって、
自宅についての生前贈与を受けた場合には、
配偶者は結果的により多くの財産を得ることができ、
生活を安定させることができるようになりました。
また、2020年4月1日からは、
「配偶者居住権」といって、
故人が所有する建物に無償で居住していた配偶者が、
故人が亡くなったあとも、
同じ建物に住み続けることができる権利が新設されるなど、
配偶者を保護するための方策が盛り込まれています。
詳しいことを知りたい場合などは、
私たちの提携している弁護士や司法書士、行政書士の先生を
紹介させていただくこともできますので、
お困りのことなどがありましたら、
お気軽にお問い合わせください!
さて、「経営マガジン」の7月号を
お届けさせていただきます。
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