収用等による資産の譲渡について
投稿日:2016.06.18カテゴリー:税務
私はアパートを経営しているのですが、県から道路工事の都合上、立ち退きの要請がありました。
現在アパートが立地している土地を引き渡す代わりに、用地補償費の提示があったのですが、税務上はどのような取り扱いになるのか教えてください。
◆ 補償金には税金がかかります
区画整理事業では、建物等の移転に伴い各種の補償金が交付されます。交付された補償金は、原則としてその年の譲渡所得や一時所得等とみなされ、所得税が課税されます。
◆ 補償金には課税の優遇措置があります
区画整理事業や収用事業のような公共事業に伴う補償金収入については、被補償者の税の負担を軽減するため、所得税法や租税特別措置法により課税の優遇措置が設けられています。
- 所得税法よる課税の優遇措置
資産の移転に要する費用として交付された補償金を、交付の目的に従って移転費用として支出した場合、その支出額については課税されません。(所得税法第44条)
- 租税特別措置法による「収用等の課税の特例」
下記の特例のうち、どちらかを選択できます。
● 譲渡所得のうち5,000万円までは課税されません。(措法第33条の4)
● 代替資産の取得に支出した額には課税されません。(措法第33条)
◆ 補償金は種類や実際の使い方により課税上の取扱いが異なります
補償金にはいろいろな種類がありますが、その種類や補償金を受領した後の実際の使い方により課税上の取扱いが異なります。
- 建物移転補償・工作物移転補償(建物を曳家した場合)
「移転補償金」として扱われ、「一時所得」の対象となります。
- 建物移転補償・工作物移転補償(建物を取り壊した場合)
「対価補償金」として扱われ、「譲渡所得」となります。
- 建物補償・工作物補償
「対価補償金」として扱われ、「譲渡所得」となります。
- 動産移転補償・仮住居・仮倉庫補償・移転雑費
「移転補償金」として扱われ、「一時所得」の対象となります。
- 営業休止補償・家賃減収補償・仮営業所設置補償
「収益補償金」や「経費補償金」として扱われ、「事業所得や不動産所得、雑所得」となります。
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。